
最終更新日 2025年5月19日
環境負荷が少ない海における風力発電となる洋上風力発電が注目されていますが、洋上風力発電とは何なのか疑問を持つのではないでしょうか。
海上の風を利用して発電する風力発電を意味しており、風のエネルギーを電気エネルギーに変えることができるよう開発されました。
使用することで様々なメリットがありますが、風さえあれば稼働できるため昼夜を問わず稼働することが可能です。
また、海洋上ということで騒音等でトラブルになる可能性が低く、設置場所の確保がしやすいといえるでしょう。
目次
日本ではどの場所に設置されているのか
日本ではどの場所に設置されているのか興味を持つかもしれませんが、福島県沖や千葉県銚子沖、長崎県五島列島等で設置されています。
ヨーロッパでは1990年代頃から導入が進んでいますが、日本では法整備が遅れており、普及に向けての課題となっていました。
具体的には、一般海域の長期占用に関してや漁業者等との調整が問題視されていましたが、平成31年に法律が定められました。
再エネ海域利用法となる、海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律が施行されています。
【関連】Influx 星野敦
洋上風力発電の仕組み
どのような仕組みで電気を発電させるのか興味を持つかもしれませんが、風の運動エネルギーを風車で回転エネルギーに変換します。
建設に関しては基礎工事を行った後タワーを設置し、タワー上部に箱型のナセルを設置した後、回転羽根となるブレードを取り付けなければなりません。
ナセルには、発電機やブレーキ装置や増速機が設置されています。
回転エネルギーを発電機に伝送することで電気エネルギーへ変換しますが、風車には様々な種類が存在します。
具体的には2種類存在しますが、どのような種類なのか疑問を持つのではないでしょうか。
風車の種類には着床式と浮体式が存在する
風車の種類には着床式と浮体式が存在し、海のどこに風車を建てるかで選択する種類が変わります。
着床式は海の浅いところに向いており、水深50メートルよりも浅いところで利用するほうが、経済的にも有利とされています。
建設に関しては、直接海底に支持構造物を埋め込む必要があり、固定して建設しなければなりません。
ヨーロッパで使用されているほとんどの設備が着床式となりますが、浮体式は、海に浮いている種類の風車となり、海の深いところに向いています。
水深50メートルよりも深いところで利用するほうが、経済的に有利とされていますが、建設に関しては風車を浮かべる形で設置し、風車の基礎を海底に固定することはありません。
構造は海に浮かべる形となり、より広い海域で設置することが可能となりますが、波や海流を考慮して設計しなければなりません。
着床式と比較して安い費用でタービンを設置することが可能等メリットはありますが、実用化するためには、様々な問題を解決する必要があります。
世界的に新しい技術となる浮体式の研究は、実用化に向けて日本でも行われており、2011年に福島沖で実証研究が行われました。
電力を陸上に送る際の送電効率について
問題の一つに電力を陸上に送る際の送電効率があげられますが、発電した電流をその場で高圧化することができると、送電の大容量化を実現することができます。
変圧器を利用するためには、コイル等が液体に満たされていなければなりませんが、波によって露出する危険性があります。
新しい技術となる低動揺性強化技術が取り入れられ、波でゆれても液面がコイルの上に行くよう開発されました。
世界でも様々な研究が行われていますが、何故洋上風力発電が注目されているのか、疑問を持つのではないでしょうか。
日本政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目標としており、洋上風力発電が注目されるようになりました。
平均気温上昇を防ぐため2015年にパリ協定が採択された
世界の平均気温は年々上昇しており、平均気温上昇を防ぐため2015年にパリ協定が採択されました。
世界共通の目標として、産業革命前からの平均気温の上昇を1.5度から2度未満に抑えるよう定められています。
世界の平均気温は2017年時点で、産業革命以前となる1850年から1900年と比較して約1度上昇しており、更に気温が上昇することが予測されるといえるでしょう。
二酸化炭素等の温室効果ガスが増えると気温が上昇しますが、再生可能エネルギーは温室効果ガスを排出しない自然由来のエネルギー源となり、太陽光や風力等があたります。
太陽光でも電気を生み出すことはできますが、日本の国土で適した土地は限られ、大規模に導入は難しいとされています。
日本は海に囲まれており、海上は安定した強い風が吹くため、洋上風力発電は日本にとって未知の可能性を秘めた再生可能エネルギーといえるでしょう。
まとめ
日本ではどの程度発電されているのか疑問を持つかもしれませんが、国内で合わせて5基となり、設備容量は1.4万キロワット程度となります。
ヨーロッパと比較するとイギリスでは2200基以上、ドイツでは1500基程度となり、かなり差が開いています。
日本政府は2040年までに設備容量を増やす目標を決めましたが、容量を増やすことで温暖化を防ぐことができ、豪雨災害等を防ぐことにつながるのではないでしょうか。